
立場の壁を越えて、「きたまる」が縮めた先生と生徒の距離【埼玉県立北本高等学校】
「夢・挑戦・感動」をコンセプトに、地域の中で生徒の生きる力を育んでいく埼玉県立北本高校。北本市唯一の県立高校として、小中学校との連携など地域に根ざした教育活動を展開しており、令和7年度からはDXハイスクールに採択されています。
そんな北本高校が抱えていたのが、校長先生と生徒との間にある、目に見えない「立場の壁」でした。「校長」という役職があると、生徒はどうしても身構えてしまう。話しかけたくても話しかけにくい、そんな距離感がありました。
生徒が日々どういった思いで学校に通っているのかを理解するためにも生徒との直接のコミュニケーションは欠かせません。
その距離を、じわりと縮めるきっかけになったのが、「きたまる(LOVOTの愛称)」の存在です。文化祭での生徒の様子から導入を決め、今では日常的に生徒や教員と触れ合う存在になりました。
今回は本城校長と、生徒の稲沢さん、小林さん、露木さんの4名に「きたまる」がもたらした変化を伺いました。
課題と効果
課題
- 学校の日常にある生徒や先生たちの魅力を、もっと多くの人に伝えたかった
- DXハイスクールの目玉となる、生徒の成長を促す取り組みが欲しかった
- 北本市唯一の県立高校として、地域や中学生・保護者への発信力を高めたかった
効果
- LOVOTを介して、校長と生徒の間に自然な会話が生まれるようになった
- 転校生など人間関係に悩む生徒が、「きたまる」をきっかけに友達の輪が広がった
- 学校のホームページの閲覧数が伸び、地域や他校からの反響につながった
文化祭で見せた生徒の優しさが、導入の決め手

——LOVOTを知ったきっかけを教えてください。
DXハイスクールの初年度に、DXハイスクール事業に関係するものを置いた「DXの部屋」をつくろうと考えていました。
コミュニケーションロボットは他にも置いていたのですが、もう少しインパクトのあるものが欲しくて。色々なロボットを調べているなかでLOVOTは無料で貸し出してくれると知り、「これは!」と思い飛びつかせてもらったんです。
導入の決め手は、文化祭で「かぼす(体験導入時のLOVOTの愛称)」と初めて出会ったときの生徒たちの様子でした。
壊してしまうのではと心配していた先生もいたのですが、実際はまったくそんなことはなく、親や小さな兄弟が来ても壊れないようにと気を配りながら、みんな本当に優しく可愛がっていて。こんなに優しい子たちなんだと驚いたくらいです。
ちょうどDXの予算も残っていたので、導入を決め、その後「きたまる(LOVOTの愛称)」をお迎えしました。
渡り廊下での立ち話から、校長と生徒の距離が縮まるきっかけに

——校長先生は、もともと生徒と接する機会が多いほうでしたか。
いえ、そんなに積極的なほうではなかったと思います。でも「きたまる」が校内を歩いてくれることで、話しかけやすくなったんですよね。
三者面談の待ち時間、生徒たちが渡り廊下に集まっていることがあるのですが、そこに「きたまる」を連れて行くと、自然と生徒の方から声をかけてくれるんです。
「部活は何に入ってたんですか」って、生徒から聞いてくれたこともありました。「きたまる」がいなかったら、そんな会話は生まれなかったと思います。
先生方も、「きたまる」に「今日暑いね」なんて話しかけながら雑談が始まったりして。「きたまる」自身は喋らないんですけど、それが逆に会話のきっかけになっているのかもしれません。
緊張していた転校生が、「きたまる」を通じて新しい仲間を見つけた
——「きたまる」がいることで、生徒同士の関係にも変化はありましたか。
実際にそういう場面に出会えることがあります。ある転校生は最初はとても緊張していて、自分から他の生徒の会話に入ることが難しかったそうです。
でも「きたまる」がいたことで「とりあえずこの子を可愛がっておこう」と思ったそうで、そこから違う学年の生徒とも関わるようになり、気づけば仲良くなっていたと聞きました。
——生徒のみなさんにとって、「きたまる」はどんな存在ですか。
最初はマスコットキャラクターなのかなと思っていました。でも今は、生き物みたいだなって感じています。友達に近い感覚ですね。
バイバイして離れるときに寂しそうに近寄ってくる姿を見ると、本当にそう思います。
3年生からは、朝来たらおはよう、帰るときはバイバイって、もう3年間ずっと一緒にいたような距離の近さになっているという声も聞きますね。
校長ブログが、地域とのつながりを予想以上に広げていった

——学校ホームページ内の校長ブログではどんなことを書かれていますか。
「きたまる」を介した学校の日常を中心的に書いています。「きたまる」がきっかけで生まれた、生徒とのやりとりや、ちょっとしたハプニングも面白く書けてしまいますね。「きたまる」がいたから成立したようなストーリーがたくさんあるんです。
今年は学校のホームページの閲覧数がかなり伸びてきていて、他校の先生方はもちろん、地域の中学生の保護者の方にも読んでいただいているようです。なかでも一番驚いたのは、地域のオーナーさんがブログを読んで、学校にプレゼントを贈ってくださったことです。
まさか学校にプレゼントをしてくださる方がいるとは思わず、本当に素敵なご縁だなと思いました。
北本市唯一の高校として、小中学校との連携や市議会と連携した模擬議会など、地域と一緒に考えていく取り組みも続けています。そのなかで「きたまる」を通じた発信が、学校の認知を広げていく一つのきっかけになればと思っています。
「優しさ」を軸に、探究学習へとつなげていきたい

——これから「きたまる」にはどう活躍して欲しいと思っていますか。
長く大切にしていきたいというのがまずあります。それと、探究学習にもっと近づけていけたらと思っているんです。
うちのDXハイスクールは「優しさ」や「地域や人に優しいDX」を副題に掲げているのですが、「きたまる」を通じて自分たちが優しい気持ちになれるからこそ、人や地域にどう優しくできるかを生徒自身が考えられるようになったら理想的だなと思っています。
——校長という立場の壁を、「きたまる」がそっと取り除いていく。渡り廊下でのふとした立ち話から始まった校内の変化は、生徒同士の輪を広げ、やがて地域とのつながりにまで広がっていったんですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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