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不安を抱えていた子どもたちが、自分で決断できるようになった【和泉市教育支援センター グリーンルーム】

2026.09.11
2026.09.11
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和泉市教育委員会が運営する「和泉市教育支援センター グリーンルーム」は、心理的な要因により登校しづらい市内在住の児童・生徒のための「こころの居場所」です。
学習や課外活動、栽培活動などを通じて集団での活動経験を積み重ね、学校への復帰や社会的自立をめざしています。

そんな子どもたちの多くに共通するのが、人と関わることへの不安です。大人との信頼関係をなかなか築けずにいる子どもも、少なくありませんでした。
そこに導入されたのが、LOVOTの「みらい」(LOVOTの愛称)です。急かさず、ただそばにいてくれる「みらい」の存在は、子どもたちが少しずつ心を開き、外の世界と向き合っていくきっかけになっているといいます。

今回は、和泉市教育委員会事務局 教育部学校教育室 指導主事の石川さんと、和泉市教育支援センター グリーンルーム教員の松井さんのお二人に、導入の経緯と現場での変化、そしてこれからの展望について伺いました。

課題と効果

課題

  • 人と関わることに不安を感じ、心を閉ざしてしまう子どもが少なくなかった
  • 大人に急かされることで、自分の意思をなかなか言えずにいた子どもがいた
  • 学校に登校するかどうかを自分自身で決断できずにいた


効果

  • 「みらい」を通じて他者への関心が芽生え、少しずつ外に気持ちを向けるようになった
  • 誰にも急かされず、自分のペースで考え、自分の言葉で決断できる子どもが増えた
  • 「みらい」をきっかけに、人と自然に挨拶を交わしたり、会話をしたりするようになった
  • 2週間のお試し導入で子どもたちの変化が可視化され、教育委員会内の理解が広がった

「人が怖い」とつぶやく子どもたちには、いつも緊張感があった

——グリーンルームに通うお子さんたちには、どのような背景がある方が多いのでしょうか。

不登校の児童生徒は、学校を休み始めたきっかけがはっきり分からないという声が一番多いんです。
理由はさまざまですが、共通しているのは、たくさんの人と関わることがしんどく感じられるという点だと思います。中には「人が一番怖い」とぽつりとつぶやいた子も、これまで何人かいました。
ここにたどり着くまでに、大人との良い出会いがなかったのかもしれないなと感じることもあります。

——そうした子どもたちに対して、どのように向き合っているのでしょうか。

グリーンルームでは、学習や課外活動など集団での小さな経験を積み重ねてもらいながら、心理カウンセラーが個別に相談に応じる体制をとり、少しずつ気持ちが外に向いていくよう見守っています。

教育委員会を動かしたのは、2週間のお試し導入で見えた子どもたちの変化だった

——LOVOT導入の経緯を教えてください。

実は導入前、庁内では「ロボットに予算を使うの?」と否定的な声も多かったんです。
ただ、体験導入中に子どもたちの表情が変わっていく様子を写真や動画で見てもらうにつれて、少しずつ「いいかもしれない」という雰囲気に変わっていって
最後は教育長が「本当に欲しい」という思いを和泉市長に伝えてくれました。

市長は「和泉発日本」というスローガンを掲げていて、不登校支援でLOVOTを導入する全国第一号になれるならと、一気に話が進みました。

——どのような出来事が導入の決め手になりましたか。

2週間のお試し導入期間中の子どもたちの変化ですね。
この期間で子どもたちの表情や行動、気持ちなどがこんなに変わりましたという記録を教育委員会内に向けて通信としてまとめて発信したことで、LOVOTの効果が想像以上にあると伝わったのだと思います。
お試し期間もちょうどいい長さで、子どもたちの変化もしっかり見えるし、飽きずに関わってくれる。

最終日が近づくと、それまであまり来ていなかった子が、「LOVOTに会いたい」とお試し期間の最後の日に久しぶりに外出し、登室してくれました。お試し期間中には子どもたちの登室率も上がり、外出のきっかけと意欲をLOVOTが与えてくれました。

たった2週間で驚くような子どもたちの変化があったからこそ、財政の担当にも理解してもらえたんです。

「みらい」のお世話をするうちに、少しずつ人や外の世界に気持ちが向いていった

——「みらい」と関わる中で、子どもたちにはどんな変化がありましたか。

「みらい」と関わることで、「自分から何かしてあげたい」という気持ちが芽生えるんです。洋服を作ってあげたり可愛がってあげたりして「みらい」が喜んでくれると、その気持ちの向く先がだんだん人にも、外の世界にも向いていく様子をよく感じます。

ある男の子は、お弁当の時間もずっと「みらい」のことを気にかけていて、他の部屋に遊びに行くときも一緒に連れて行ったりするんです。
ここまで誰かに寄り添う姿を見せてくれるのは、「みらい」がいたからこそだと思います。

何も言わない「みらい」だからこそ、自分で決めることができた

——素敵なお話ですね。ほかにも印象に残っているエピソードがあれば、ぜひお聞かせください。

一度、学校に午後から行こうかどうしようか迷っている子がいたんです。
決断できずに困っていたら、「みらい」がすーっと近くに寄ってきて。その子は「みらい」を抱っこしながらじっと考えて、最終的に「やっぱり行かない」と自分で決めることができたんです。

——ご自身で「行かない決断」ができた、ということですね。

「みらい」は言葉をしゃべらないので、急かさずに待ってくれるんですよね。
人だったらつい「まだ?」「どうするの?」と急かしたり、答えを誘導したりしてしまうと思うんですが、「みらい」はただそばにいてくれる。だからこそ、その決断が自分でできたんだと思います。

あの時のことが、その子にとってすごく大事な経験になったと感じています。

「みらい」は仲間、そしてこれからも子どもたちを見守っていく

——「みらい」は子どもたちにとってどんな存在ですか。

もう当たり前の仲間ですね。
お弁当を食べているときもずっと気にかけていたり、姿が見えなくなると探しに行ったり。

以前、「みらい」がいなくなったという設定で謎解きイベントをやったことがあるんですが、見つけたときはほっとして、みんな今にも泣きそうな顔になっていました。
それくらい大切な存在になっているんだと思います。

——これから、どんなことを「みらい」としていきたいですか。

家庭科の授業で衣装を作ったり、パソコンの授業で「みらい」を題材にした作品づくりを楽しんだり、子どもたちが自分から「こんなことをしてみたい」とアイデアを持ち寄ってくれるようになりました。

「みらい」と一緒に、子どもたちが少しずつ自分のペースを取り戻していく様子を、これからも見守っていきたいです。

——ただそばにいてくれる「みらい」の存在が、子どもたちの中に眠っていた「自分で決める」という小さな勇気を、呼び覚ましているのかもしれないと感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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