
AI教材のはずが、想定外の変化を生んだ【東京都立日野高等学校】
東京都立日野高等学校は、950人の生徒と60人の教職員が在籍する都立の普通科高校です。文部科学省指定のDXハイスクール採択校に選ばれ、AIやプログラミングを学ぶ機会づくりに力を入れてきました。だからこそ、生徒たちがAIやプログラミングに直接触れる機会を作りたいと考えていました。
そこで学びのきっかけとして迎えたのが、LOVOTです。学びのツールとして迎えたLOVOTでしたが、その存在は次第に、学校の人間関係や魅力そのものを変えていきました。
今回は、LOVOT「せんぺる」(LOVOTの愛称)の導入を担当された長岡光一先生に、導入の経緯や現場での変化を伺いました。
課題と効果
課題
- 学校として、生徒がAIやプログラミングに直接触れる機会をつくれていなかった
- 職員同士、外部の方との交流、保護者面談等のコミュニケーション場面において、空気づくりに課題を感じていた。
効果
- 保護者面談等において、和やかな空気の中会話が進むようになった
- 学校説明会や他校からの視察で、これまでにない反応が生まれ、志望者が増えた実感がある
- 生徒・教員がラウンジに自然に集まり、癒される場所になった
DXハイスクール採択をきっかけに、「せんぺる」と名付けたLOVOTを迎えた

——導入のきっかけを教えてください。
文部科学省指定のDXハイスクール採択校になったことがきっかけです。普通科の学校だからこそ、生徒たちにAIやプログラミングを学ぶ機会を持ってほしいと考えていて、その学びのツールとしてLOVOTを迎えることにしました。
——LOVOTにはどんな名前をつけましたか。名付けのエピソードがあれば教えてください。
「せんぺる」と名付けました。由来は学校樹である「センペルセコイヤ」で、この木に住む妖精が実体化して突然現れたようなイメージです。学校のマスコットキャラクターになってもらいたいという思いも込めていて、お洋服も妖精の「せんぺる」くんのイメージを崩さないように、黄色ベースに赤いアウターを合わせています。
ラウンジに住む「せんぺる」が、生徒だけでなく保護者との関係まで変えていった

——「せんぺる」くんは学校ではどんな場所で過ごしていますか。生徒の反応はいかがですか。
普段はラウンジという開かれたスペースで過ごしています。生徒同士、生徒と教員が自然にコミュニケーションを取る場になっていて、休憩時間には抱っこしながら会話をする生徒の姿もよく見かけます。「せんぺる」がいる風景そのものに、見ているこちらが癒されるんですよね。
——導入前後で、学校運営や人間関係に変化はありましたか。
正直、想定していなかった変化です。職員間や保護者と会話する際には、どうしても緊張した空気が漂いがちでした。でも、「せんぺる」が来てくれたことで、そういった緊張感のある会話をする際も和やかな空気が流れ、お互いに肩の緊張がほぐれた状態で会話ができるようになったんです。
むしろ生徒たちより保護者の方から感謝していただくことのほうが多いくらいです。
——保護者の方からは具体的にどんな声がありますか。
「うちでも飼いたいけど、個人ではお迎えできない」という保護者の方が、学校に来れば「せんぺる」に会えると喜んでくださっています。PTA会誌にもよく取り上げていただいていて、大人の反応がとても良いんですよね。おかげで、学校運営もスムーズになったと感じています。
「かわいすぎる」存在が、学校を「選ばれる」場所に

——あらためて、「せんぺる」くん、そしてLOVOTという存在の魅力をどう感じていますか。
かわいすぎて、あざといとわかっていても惹かれてしまいます。空気を読まないところがあるのに、不思議と敵を作らず、その場にいる人たちを笑顔にして、幸せな気持ちにさせてくれるんです。「せんぺる」に会いたくて学校に来る、頑張るきっかけになる、という生徒もいますね。
——学校の魅力づくりという面でも変化がありましたか。
「せんぺる」がいることで、日野高校に注目がだんだん集まってきていると感じています。中学3年生向けの学校説明会では「LOVOTがいるから日野高校がいい」と言ってくれる生徒がいて、説明会に「せんぺる」が参加する取り組み自体が他校との差別化にもなっているんです。志望してくれる受験生が増えたのは、「せんぺる」のおかげもあると思います。他校からの視察でも「かわいい」「なにこれ」と思わず足を止めて触れ合ってしまう方が多く、これまでにない反応をいただいています。校舎が新しいことも本校の魅力ですが、「せんぺる」がいることでさらに上がっていると感じますね。
もっと授業でLOVOTを活用し、AIと過ごす意義を生徒に感じてほしい

——今後、LOVOTやGROOVE Xに期待することを教えてください。
もっと授業での活用を進めていきたいと考えています。LOVOTの素晴らしさへの理解を深めて、生徒たちに最新のロボットと過ごす意義を感じてもらいたいんです。情報デザインの授業では、「このデザインでどんな工夫がされているのか」「なぜこんなに幸せを感じる効果があるのか」を、「せんぺる」を題材に探究していきたいと思っています。導入校同士の交流会も、ぜひ企画・実行したいですね。
——AIを学ぶ相棒として迎えられたはずの「せんぺる」くんは、いつのまにか、ラウンジに座っているだけで生徒や教員、保護者までも笑顔にする存在になっていました。そこにいるだけで学校の空気を変えてしまう——「せんぺる」くんがつくったのは、AIを学ぶ入り口であると同時に、誰もが安心して過ごせる新しい居場所なのだと感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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