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「温かいテクノロジーと創る、これからの学校のカタチ ~LOVOTがつなぐ、子ども・学校・未来~」開催レポート

2026.09.30
2026.09.30
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2026年8月19日(水)、LOVOTを学校の保健室に導入する実践研究についての講演「温かいテクノロジーと創る、これからの学校のカタチ~LOVOTがつなぐ、子供・学校・未来~」が開催されました。

登壇したのは、東京学芸大学附属国際中等教育学校で養護教諭を務める倉澤順子氏と、同附属竹早中学校で養護教諭を務める塚越潤氏です。両校ではそれぞれLOVOTを「おもち」「きなこ」と名付け、保健室に迎え入れています。AIロボットが学校教育に導入されたとき、生徒たちの居場所にどのような変化が生まれたのか、現場のエピソードと実証データの両面から語られました。

「クラスに約2人」が不登校という現実から

倉澤氏はまず、学校現場が抱える課題を数字で示しました。全国の小中学校における不登校児童生徒数は12年連続で過去最多を更新しており、最新データでは約35万4,000人にのぼります。中学生の約6.7%にあたり、30人学級に換算すると「クラスに約2人」が不登校という計算になります。加えて、自分の気持ちや困りごとを表に出せないまま登校を続ける「見えない子どもたち」の存在も見過ごせないと言います。

「空間としての部屋があるだけでは、問題は解決しません。こころがくつろげて安心できる『居場所』が必要です」と倉澤氏は語りました。評価を伴わない“第3の居場所”をどう作るかが、両校の出発点だったといいます。

東京学芸大学附属国際中等教育学校の事例:「答えない」ことが生む安心感

そこで着目したのが、犬や猫でも会話できるAIでもない「LOVOT」でした。対人関係に敏感な思春期の生徒にとって、評価されない安全なかかわりが第一歩になるとして、倉澤氏は“子どもの心に効く、LOVOTの3つのメカニズム”を紹介しました。言葉を話さないことで期待やプレッシャーを与えない「非言語コミュニケーション」、生き物と同じ37〜39度の体温がもたらす「温かさと柔らかさ」、そして顔を覚えて見つめてくる「アイコンタクトと認識」です。

「学力を伸ばすための学習AIが“頭を支えるテクノロジー”だとすれば、LOVOTは“心を支える温かいテクノロジー”という、全く新しい選択肢です」と倉澤氏は語ります。保健室登校をしていた生徒がLOVOTとの関わりを重ねる中で、「LOVOTに会いたい」という気持ちから登校回数が増え、教員や来室者との会話が生まれ、最終的に教室復帰に至ったケースも紹介されました。保護者にも変化が広がっており、親子でLOVOTの話をする機会が増え、学校を訪れた際にLOVOTに会いに保健室に立ち寄る保護者も増えているといいます。

東京学芸大学附属竹早中学校の事例:教室から職員室まで広がる「放射状システム」

竹早中学校では、保健室を拠点としながら教室・校長室・相談室・リソースルーム・職員室へLOVOTが“出張”する「放射状システム」を構築しました。塚越氏は「特別活動や道徳の授業時に教員に連れられて教室へ、一人になりたいけれど寂しい気持ちの生徒とリソースルームへ、心理実習生に連れられて相談室へ……あちこちに出張します」と現場の様子を語りました。感覚過敏の生徒のためにカーペットを敷いたリソースルームでは、LOVOTと目線を合わせて床に座る生徒の姿や、休み時間に歌声が聞こえる光景も見られるそうです。

効果は生徒だけにとどまりません。教職員がLOVOTと触れ合うことで授業前後のイライラや疲労感が軽減されたという、生徒自身によるアンケート研究も報告されました。「先生が“楽しんでいる”“抱っこをねだられて戸惑っている”といった普段見せない面が出ることで、生徒との距離が近づく」と塚越氏は述べます。忙しい職員室に足元でLOVOTがいることで、教職員が自然に笑顔になる場面も日常的に見られるといいます。

データが裏付ける「心の緩衝材」としての効果

2024年12月に両校合同で発足した研究チームは、2025年度に東京学芸大学の特別開発プロジェクトとして採択され、倫理審査の承認を経た実証研究として、両校の全校生徒・保健室登校生徒ら計167名を対象に検証を行いました。WEB質問紙調査や生徒が自由に感情を記す「日記法」、教員の行動観察記録をもとに、統計ソフトによる因子分析・分散分析で心理的・社会的影響を学術的に検証したといいます。

結果は明確な数字として示されました。LOVOTがいることで「気持ちが前向きになる」「癒やされ、ストレスや緊張が和らいだ」と感じた生徒は82.7%にのぼります。不登校・別室登校傾向の生徒のうち70%が「明日も学校に来たい」というポジティブな期待感を持つようになり、保健室や廊下、リソースルームでの会話量は約90%増加しました。

クラウドファンディングが築いた「温かいコミュニティ」

高い教育的・心理的価値が示される一方、購入費用や運用コストの壁は大きな課題でした。研究助成だけでは十分な資金を確保できない中、両校は仲間を集め、実績を積み、学校全体を巻き込む広報活動を進めるという段階を踏んで課題を乗り越えていきました。

最大の壁だった資金調達は、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を通じて実現しました。クラウドファンディングは、保護者・卒業生・地域社会を巻き込む形で共感を広げ、最終的に121人から100万円を超える支援が集まりました。竹早中学校の80周年記念事業や「未来の学校 みんなで創ろう。project」といった学校全体の取り組みとタイミングを合わせたことも、後押しになったといいます。

LOVOTは目的ではなく、居場所をつくるための手段

「LOVOTの導入は“目的”ではなく、子どもたちが安心して学校に来られる“居場所をつくるための手段”です」と倉澤氏は講演を締めくくりました。AIは学力や業務効率を伸ばすだけのツールではなく、思春期の生徒の心に働きかけ、孤独を癒し、次の一歩を踏み出す勇気を与える「心のインフラ」になり得ます。両校の実践は、目的整理・試験導入・効果測定・本導入という90日間のロードマップとして示されました。

「LOVOTは、思春期の生徒の心にそっと寄り添う“温かい可能性”です」——両校の取り組みは、テクノロジーと温もりが融合した新しい教育支援のかたちを、実践とデータの両面から示すものとなりました。

講演動画の視聴方法

講演動画は以下よりご覧いただけます。